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諸外国に比べて虫歯本数の多い日本人

日本人成人の9割以上が虫歯を持ち、20代で7割強、30代で8割前後が歯肉に何らかの所見がある。つまり歯周病、あるいは歯周病の予備軍だ(厚生労働省「平成17年歯科疾患実態調査」より)。
12歳児の虫歯の平均本数を他の先進諸国と比較すると、日本は1.7本(2005年)であるのに対し、イギリス0.7本(2004~05年、Great Britain)、ドイツ0.7本(2005年)、スウェーデン1.0本(2005年)、イタリア1.1本(2004年)、フィンランド1.2本(2000年)、アメリカ1.19本(1999~2004年)。日本人は、欧米人に比べて実は虫歯の本数が多い。厚生労働省の調査によると、96.2%の人が毎日歯を磨き、75.1%の人が1日2回以上歯を磨いており、一見、きちんとケアしているようなのに、なぜか。
歯を強化するフッ化物の利用が進んでいないこと、欧米ほど矯正治療が進んでいないため歯並びの悪い人が多いことなど、さまざまな理由が言われているなかで、必ず挙げられることの1つが、歯科医院で定期的にクリーニングを受けている割合が圧倒的に低いということだ。
多くの人にとって、歯科医院とは「できるなら、行きたくない場所」「痛みが出てから仕方なく行く場所」だろう。しかし、「虫歯になった歯は元には戻りません。悪くなってから歯科医院に行くのではなく、悪くなる前にきていただきたいのです。そして、きれいな歯を維持したいのであれば、少なくとも数ヶ月に一度、定期メインテナンスのために足を運んでいただきたい。まずは一度、プロのクリーニングを受けてみてください。きっと歯医者さんのイメージが変わるはずです」と、豊山とえ子DH。

歯は磨くものではない

メインテナンスの目的は、虫歯や歯周病、歯の消耗や損傷を予防し、健康な歯と歯肉を維持すること。あるいは、すでに虫歯や歯周病にかかっている場合は、それ以上に進行させないよう、状態を保つこと。一生涯、歯のトラブルに煩わされることなく生活し、おいしいものを味わえるための自己投資、ともいえる。
ほとんどの人が毎日歯磨きをしているにもかかわらず、9割以上の人が虫歯にかかっていることは冒頭紹介した。さらに、間違った歯磨きのために、逆に歯肉を傷つけている人も少なくないという。「歯のことを気にしてケアしているのに、悪くしているなんてもったいないですよね。そもそも、歯は磨くものではないのです。磨くのではなく、正しいブラッシングでデンタルプラーク(歯垢)などの汚れを落とすこと」と、豊山とえ子DH。正しいケアのテクニックを身につけてもらうこともメインテナンスの目的の1つだ。ただし、どんなにテクニックを身につけても歯ブラシではデンタルプラークを100%落としきることは不可能。そのため、定期的にプロのケアを受けることが必要なのだ。

レギュラーチェックからクリーニングまで
価値のあるメインテナンス

聖母歯科医院の自費メインテナンスは、1時間1万5,000円から。開業当初からメインテナンスを重視し、自費診療で行ってきた。現在、ゲストの1割程度が継続的にメインテナンスを受けており、10年以上、通い続けている人も多い。なかには、開業当初から通い続けている85歳の女性もいるという。
聖母歯科医院でのメインテナンスの流れは次のとおり。

  • 1)レギュラーチェック
     表情、感情、動作、全身状況、生活習慣、環境の変化、口腔内審査
  • 2)セルフケア、プラークコントロールの状況の確認と改善
  • 3)生活習慣のアドバイス
  • 4)クリーニング
    • (1)デンタルプラークの除去
      プラークが付着している箇所を染め出し、デンタルプラークとステイン(着色汚れ)を除去。
    • (2)歯面の研磨
      歯の表面がざらついているとデンタルプラークがつきやすく、歯石になりやすい。歯面を研磨することで、表面をつるつるに仕上げる。ここで大事になるのがやはりMI。きれいな歯面は研磨の必要はない。
    • (3)トリートメント
      髪のトリートメント同様のダメージケア。研磨でつるつるに仕上げた後にも、歯の表面には細かいキズが残る。これを、ハイドロキシアパタイトというナノ粒子で埋め、歯質が強化され歯面がをより滑らかになる。その結果、プラークや色素沈着、再付着防止、歯と歯肉の細菌の毒素に対する抵抗力向上が期待できる。
    • (4)ミネラルパック
      豊富なミネラル、リカルデントを含んだ「MIペースト」、「フッ素」を歯面に塗布し、栄養補給を行って仕上げ。
    • (5)フロッシング
      デンタルフロスを使って仕上がりを確認。
    • (6)歯肉のマッサージ
      歯肉炎の程度にあわせて加圧の加減を調整し、歯間部を含めた歯肉と頬筋、口輪筋をマッサージ。

「自分の体は自分で守る」を理解していただく

治療の一環ではあるものの、「エステのような感覚で受けていただいている」と、豊山とえ子DHは説明する。メインテナンスを受けたゲストからは、「気持ちよかった」「こんなにすっきりと爽やかな感覚は初めて」「また来たい」など、歯科治療後とは思えない感想が聞かれる。
ただし、プロとして質の高いサービスを提供する一方で、ゲストに要求するレベルも高い。
「(歯科医院に)行けばなんとかなると考えている方には、聖母歯科医院は必要ないでしょう。自分の体は自分で守るという考えを理解してくださる方にお越しいただきたいと思っています」(豊山とえ子DH)
豊山院長も、「私たちも全力を尽くしますから、ゲストにも全力を尽くしていただきます」と話す。定期的に通う必要があるため、時間もかかるし、当然、コストもかかる。また、自宅で正しいケアを日々行うことも必要だ。
そしてもうひとつ、「ある程度の痛み、不快感にも耐えていただく」(豊山院長)ことも必要。
評判のいい歯科医院のなかには、虫歯の治療を行うのに、患者に嫌がられるという理由で、痛みの伴う処置を避ける“治療”を行うところもあるという。つまりは、虫歯が進行している部分をほとんどとらずに、そのまま詰めてしまう。そうした“治療”を行ったところで、もちろん虫歯は悪くなるばかりだ。実際、他院を受診後に来院したゲストの中には、かぶせている銀歯をはずしたら、虫歯が増殖していたという人も珍しくはない。
「当院では、必要最低限になるように努めますが、ある程度削ることもあります。ただし、『神経を取らないようにするために除菌して固めますので、そのときだけはご辛抱してください』などと伝えると、皆さん、覚悟を決めてくださいます」(豊山とえ子DH)
痛みはないけれど虫歯が残る“治療”と、多少の痛みは伴うものの虫歯の進行を止める治療、どちらがいいだろうか。

[参考ページ]
メインテナンス
PMTC

2010年3月30日掲載

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